パルスフィールドアブレーションによる肺静脈隔離

当院では、心房細動治療にパルスフィールドアブレーションを導入しました。
全世界で約12万例超の症例に実施し十分な安全・効果が実証された細胞工学に基づく新たに確立された心房細動治療です。
当院に導入されたパルスフィールドアブレーションの特徴
- 短い手術時間で十分な効果、
安全性を目指します。
- 全身麻酔での実施を原則とします。
- 心臓のターゲット領域のみに必要な影響が及ぶことを基本設計としています。
パルスフィールドアブレーションは、不整脈治療のターゲットとなる一部の心筋細胞(左心房-肺静脈接合部など)に2-3秒のパルス状の電圧を複数回かけることで細胞膜に微細な孔をあけて治療を行う新しい治療法です。エレクトロポレーションという細胞工学に基づいた最新の方法です。
パルスフィールドアブレーションの原理
エレクトロポレーションにより狙った細胞に
孔をあけることにより細胞が融解する
従来の高周波アブレーションと比べると大幅な通電時間の短縮になります。治療時間が短いといわれている冷凍凝固バルーンアブレーションと比べても、さらに短くなることが実証されています。(ADVENT研究)
従来の高周波、冷凍凝固といった方法によるアブレーションでは発生する熱や冷凍により心臓の周囲の臓器、機能にまで影響が及ぶため、食道障害、横隔神経障害などの合併症が問題となってきました。
パルスフィールドアブレーションでは心筋細胞を、より選択的に治療することができるため、このような合併症が起こりにくいのが特長です。
この新しいアプローチにより、より安全かつ効果的に心房細動の治療を提供することが可能となりました。
高周波クライオ(冷凍凝固)バルーンパルスフィールド
Damaged Esophagus:障害された食道
Damaged Phrenic Nerve:障害された横隔膜神経
Normal Esophagus:正常な食道
Normal Phrenic Nerve:正常な横隔膜神経
パルスフィールドは臓器、組織選択性があり、
ターゲットとする心臓の一部、心筋を狙って治療します。
心臓、心筋(myocardium)への通電は
他の臓器、組織に影響の少ない電圧(電解)で行われます。