カテーテルアブレーション心筋焼却術ABL

不整脈の種類について

心房細動 心房細動とは、本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動をしてけいれんしている状態を指します。そのため規則的な脈ではなく、不規則な脈となってしまいます。心房細動を発症すると、動悸やめまいなどの症状を自覚することがあります。又心房細動を発症すると脳梗塞を引き起こす危険性が高くなります。心房細動の治療では、不規則な脈をコントロールするという点以上に、脳梗塞発症を予防するという点が重要になります。また、似たような病気として、心房粗動も知られていますが、発生のメカニズムに異なる点があります。
上室性頻拍・心室性頻拍 頻拍(上室頻拍、心室頻拍)とは頻脈性不整脈の中で心房(上室)の期外収縮をきっかけに始まる上室頻拍があります。突然に始まって突然に止まる動悸の発作で脈拍は150~200/分、脈としてほとんど数えられないほどになります。WPW症候群に見られる頻拍発作の多くはこの上室頻拍によるものです。一方、心室から始まる頻拍発作は心室頻拍と呼ばれます。上室頻拍よりもっと重篤で、心室から血液を十分に送り出すことができなくなるために血圧も下がり、致命的な心室細動に移行する恐れがありますので、大至急頻拍を停止させる必要があります。
心室細動 心室細動は最も怖い不整脈で、心室が細かく震えている状態です。こうなると心臓からの血液拍出はゼロのいわゆる心停止状態で、数分で循環停止、呼吸停止になり、さらに脳、腎臓、肝臓など重要臓器に不可逆性の障害を来たして最終的には死亡してしまいます。心臓突然死の多くは、この心室細動が原因です。心室細動が起きたら、すぐに除細動を行わなければ命が助からないため、その場にいる誰もが除細動できる小型の機械(AED)の普及が推進されています。また、心室細動を起こす可能性の高い患者さんには、小型の植込み型除細動器(ICD)を胸に埋め込む治療が行われます。ICDは、心室細動を起こしたときに、自動的に除細動してくれる器械です。
WPW症候群 WPW症候群とは正常の心臓では、興奮は刺激伝導系と呼ばれる1本の電線を通って心房から心室へと伝わって行きます。心房と心室はこの刺激伝導系以外の部分では絶縁された状態になっています。ところがWPW症候群では、先天的に、心房と心室の間に刺激伝導系のほかに興奮が通る通路(副伝導路)、道路に例えればバイパスのような組織があります。心電図上は特徴的な所見がありますが、ふだんはまったく無症状です。しかし、この副伝導路を通って興奮が高速で勝手に心室に伝わってしまい、極端な頻脈性不整脈を起こすことがあります。
房室ブロック 房室ブロックとは右心房にある洞結節と呼ばれる特殊な組織で発生した興奮は、刺激伝導系という電線を伝わって規則的に心室に到達し、心臓全体がリズミカルに収縮しますが、時にこの興奮が途中で途切れてしまうことがあります。電線の通りが悪かったり、切れてしまっていたりする状態で、「房室ブロック」と総称されます。
房室ブロック不完全ブロックと完全ブロックがあり、不完全ブロックは電気が時々心室へ伝わらなくなるもの、完全ブロックはまったく伝わらなくなるものです。完全房室ブロックになって上からの電気が心室へまったく伝わらなくなると、心室は自家発電のように自分で電気を発生して収縮活動を始めますので、心房は洞結節のリズムで、心室は1分間25~35ぐらいの遅いリズムでそれぞれ独立に拍動することになります。こうなると脈が遅く、きわめて不規則になりますので失神発作や心不全の原因になります。治療は、人工ペースメーカを植え込むことで正常のリズムに戻すことです。
特に、まったく前兆がなくある瞬間から突然何秒間か電気が途切れてしまうような「高度房室ブロック」という状態は、危険な徐脈性不整脈の代表で失神発作や突然死に結び付く大変危険な病態です。急いでペースメーカ治療をする必要があります。
洞不全症候群 洞不全症候群とは房室ブロックによく似ていますが、重症徐脈性不整脈のもう一つの代表が、洞不全症候群です。洞結節の働きが鈍くなると脈が極端に遅くなり、またその周辺の心房が侵されると洞結節の働きは正常でも洞結節から心房への電気の伝わり方が悪くなって、ひどいときには失神発作を起こすことがあります。これが洞不全症候群とよばれるもので、状態に応じてペースメーカ治療の適応になります。
期外収縮 期外収縮とは、 ”胸が一瞬ドキッとする”、”脈が飛ぶ”、”脈が3つに一つ飛ぶ”といったことは大抵の人が過去に少なくとも一度は感じたことがあるだろうと思います。これは期外収縮といわれる不整脈です。本来規則的に打っているはずの心臓の拍動が一拍だけ早く打つことによってその拍動が脈として感じられなくなり、脈の途切れを感じたり、途切れた後の拍動を強く感じて”ドキッとする”ことになります。このような期外収縮は心臓に病気を持つ人だけではなく、病気を持たない健康な人でも起こるもので、不整脈を訴える人の9割までがこの期外収縮によるものだといっても過言ではありません。

不整脈の治療について

不整脈とは生理的反応以外の様々な原因によって心臓の刺激伝導系(伝導回路)に障害が生じたために起こった脈拍が不整になったことをいいます。
脈拍が速くなる不整脈を「頻脈性不整脈」、脈拍が遅くなる不整脈を「徐脈性不整脈」といいます。生命に危険を及ぼす重篤な不整脈から、全く影響がないため治療は不要で経過観察か可能な不整脈まで、様々な不整脈があります。

その中で、近年最も多くみられる治療が必要な不整脈が、心房細動です。心房細動とは、本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動をしてけいれんしている状態を指します。そのため規則的な脈ではなく、不規則な脈となってしまいます。心房細動を発症すると、動悸やめまいなどの症状を自覚することがあります。又心房細動を発症すると脳梗塞を引き起こす危険性が高くなります。心房細動の治療では、不規則な脈をコントロールするという点以上に、脳梗塞発症を予防するという点が重要になります。また、似たような病気として、心房粗動も知られていますが、発生のメカニズムに異なる点があります。心房細動は、脳梗塞などの血栓塞栓症・心臓弁膜症や心機能低下による心不全・腎臓や脳の血流低下による機能低下(慢性腎臓病,認知機能の低下)などを合併し、日常生活の活動に大きな障害をもたらす可能性が高いため、適切な治療を適切な時期に受けられることが必要です。

不整脈の治療は、大きく分けて「薬物治療」(抗不整脈薬の内服など)と「非薬物治療」(カテーテル治療、ペースメーカ等のデバイス治療)の2つの治療方法があります。個々の患者様に対してどの治療方法が望ましいのかは、定められたガイドラインに従って決定します。

頻脈性不整脈に対しては、カテーテルアブレーション治療(経皮的カテーテル心筋焼灼術)が行われるようになっています。カテーテルアブレーション治療の対象となる主な頻脈性不整脈は、「発作性上室性頻拍」・「心房頻拍」・「心房細動」・「心房粗動」・「心房期外収縮」・「心室期外収縮」および「心室頻拍」です。それぞれの不整脈の原因となっている心臓内の箇所に、血管から心臓に進めた専用のカテーテルの先端から高周波電流を流して、心臓の心筋細胞を壊死させることによって不整脈を治療します。

カテーテルアブレーション治療は、基本的には根治治療です。カテーテル治療を行うことによって、動悸や胸の不快感といった症状が消失するだけでなく、心臓への悪影響が回避できるため心臓の状態が改善することが期待できます。それにより、日常生活を不安や制限なく送っていただくことも期待できます。

当院でも2020年度から不整脈に対する診察と治療を積極的に行わせていただいています。当院では、頻脈性不整脈に対しては従来どおりの薬物治療だけでなく、3次元ナビゲーションシステムを用いた高周波電流によるカテーテルアブレーション治療(経皮的カテーテル心筋焼灼術)を、静脈点滴での全身麻酔下で行わせていただくことが可能です。鎮静下で行うため、患者様は痛みや辛さを感じることなく、治療を受けていただくことができます。

いずれの不整脈に対しても、まず全身状態や基礎心疾患の有無などを評価したうえで、適切な治療内容を提示させていただき、治療をすすめてまいります。症状に不安がある、又は症状はないが健診などで不整脈を指摘された患者様は、是非当院外来を受診していただき、外来担当医に一度ご相談ください。

発作性心房細動。3次元ナビゲーションシステムを用いたカテーテルアブレーション治療の一例。
丸い点がカテーテルで焼灼をした箇所になります。

柏厚生総合病院 循環器内科

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