概要outline
大動脈解離は、大動脈壁の内膜に亀裂が生じて血液が壁内に入り込み、内膜と中膜を剥離させながら急速に拡がる疾患です。突然の激烈な胸背部痛で発症し、発症直後から生命が危機にさらされます。解離発症後2週間以内の急性期は破裂や臓器虚血のリスクが極めて高く、早急な対応が必要です。解離の部位によりStanford分類でA型(上行大動脈が関与)とB型(下行大動脈のみ)に分類されます。
大動脈解離は、大動脈壁の内膜に亀裂が生じて血液が壁内に入り込み、内膜と中膜を剥離させながら急速に拡がる疾患です。突然の激烈な胸背部痛で発症し、発症直後から生命が危機にさらされます。解離発症後2週間以内の急性期は破裂や臓器虚血のリスクが極めて高く、早急な対応が必要です。解離の部位によりStanford分類でA型(上行大動脈が関与)とB型(下行大動脈のみ)に分類されます。
突然発症する激痛が特徴で、しばしば「引き裂かれるような」痛みと表現されます。痛みは胸から背中、腹部へ移動することもあります。約半数で一過性の意識消失がみられ、高血圧の既往が多いです。解離が冠動脈に及ぶと心筋梗塞、頸部に及ぶと脳虚血、腸間膜動脈に及ぶと腹部臓器虚血、腎動脈に及べば腎不全、下半身では下肢麻痺など、解離した場所に応じた臓器虚血症状が出現し得ます。A型では心タンポナーデによるショックも起こり得ます。
急性大動脈解離が疑われる場合、造影CT検査が緊急で行われます。CT画像で大動脈腔内に真腔と偽腔を隔てる内膜フラップが認められれば診断確定です。心エコー(経胸壁・経食道)でも上行大動脈の解離や心嚢液を検出できます。胸部X線では縦隔拡大が示唆所見になります。さらに血圧左右差や、大動脈解離に特徴的なD-ダイマー高値も参考になります。
Stanford A型(上行大動脈を含む解離)は緊急手術の適応です。人工血管による上行大動脈置換術が行われ、必要に応じ大動脈弁や冠動脈開口部の再建も伴います。手術までの間は厳格な降圧と鎮痛で安静保持します。【Stanford B型(下行大動脈のみ)では、まず内科的治療(血圧管理と疼痛管理)で経過を見ます。合併症がなければ安静と降圧で偽腔の拡大抑制を図ります。ただし、解離が進展して臓器虚血や動脈瘤化を起こした場合はステントグラフト内挿術などの血管内治療や手術を検討します。慢性期には降圧療法を継続しつつ、定期的な画像検査で大動脈径のフォローを行います。瘤径拡大時には予防的手術を検討します。いずれの場合も急性期は状態が急変し得るため、心臓血管外科治療が可能な高度医療施設で管理することが重要です。
7:30~17:30(月~土) 診察の予約・変更及び検査の変更ができます。