急性心筋梗塞Acute Myocardial Infarction 心臓の筋肉(心筋)への血流が突然途絶え、心筋細胞が壊死する緊急疾患。日本人の死亡原因でがんに次ぐ高い割合を占め、迅速な治療が不可欠です。 詳しく見る
狭心症Angina Pectoris 心筋への血液供給が一時的に不足し、胸痛などを引き起こす状態です。冠動脈の動脈硬化による狭窄が主因で、安定狭心症(症状が慢性的に安定)と急性冠症候群(不安定狭心症や心筋梗塞に移行する重症例)に大別されます。日本人では冠動脈の一過性の攣縮(けいれん)による冠攣縮性狭心症も多くみられます。 詳しく見る
心不全Heart Failure 心不全とは「心臓が全身に必要な血液を十分送り出せなくなった状態」を指します。原因となる心疾患の終末像で、生命予後に関わる重大な症候群です。進行速度により、急激に悪化する急性心不全(例:心筋梗塞や重篤な不整脈によるもの)と、心機能が徐々に低下する慢性心不全(例:心筋症や弁膜症によるもの)に分類されます。適切な治療で症状緩和や予後改善が可能ですが、完全治癒は難しい場合もあります。 詳しく見る
不整脈Arrhythmia 不整脈とは心臓の脈のリズムが乱れる状態の総称です。脈が飛ぶ、一時的に止まる、あるいは頻脈(異常に速い脈)や徐脈(異常に遅い脈)も含まれます。正常な心拍は洞結節からの電気刺激で規則正しく起こりますが、不整脈ではこの電気信号の発生や伝導に異常が生じます。大きくは心拍数が速くなる頻脈性不整脈(例:心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍など)と、遅くなる徐脈性不整脈(例:洞不全症候群、房室ブロック)に分類されます。 詳しく見る
心臓弁膜症Valvular Heart Disease 心臓の4つの弁(房室間と大血管入口にある弁)が狭く開きにくくなったり、完全に閉じず逆流を起こす病態を総称して弁膜症と呼びます。代表的なものに大動脈弁狭窄症(AS)、大動脈弁閉鎖不全症(AR)、僧帽弁狭窄症(MS)、僧帽弁閉鎖不全症(MR)、三尖弁閉鎖不全症などがあります。それぞれ弁の部位と障害様式によって分類されますが、共通して重症化すると心不全や不整脈、血栓塞栓症の原因となります。 詳しく見る
心筋症Cardiomyopathy 心筋症とは、心臓の筋肉自体に起因する疾患の総称です。原因が明らかな場合(冠動脈疾患による虚血性心筋症や高血圧・弁膜症などに伴う心筋障害)は従来「二次性心筋症」とされ、原因が不明な特発性心筋症(原発性心筋症)と区別します。特発性心筋症は大きく肥大型・拡張型・拘束型の3タイプに分類されます。 詳しく見る
感染性心内膜炎Infective Endocarditis 心臓内の弁や心内膜に細菌(まれに真菌)が感染し、疣贅(ゆうぜい)と呼ばれる菌塊を形成する疾患です。1日に心臓の弁は数万回も開閉するため、小さな傷に血中の細菌が付着して塊を作り、弁を破壊して重篤な症状を引き起こします。頻度は高くありませんが(一年間に人口10万人あたり10~50人程度)、診断が難しく重篤化しやすいため注意が必要です。 詳しく見る
肺高血圧症Pulmonary Hypertension 肺高血圧症(PH)とは、肺の血管抵抗が増大して肺動脈圧が上昇する状態です。通常、肺動脈の平均圧は安静時で20 mmHg以下ですが、安静時平均25 mmHg超(労作時30 mmHg超)の場合にPHと診断されます。原因により一次性(特発性/遺伝性)肺動脈性肺高血圧症、左心疾患に伴うもの、肺疾患や低酸素血症に伴うもの、慢性血栓塞栓性のものなどに分類されます。希少疾患ながら進行すると右心不全に至る重篤な病態です。 詳しく見る
大動脈解離Aortic Dissection 大動脈解離は、大動脈壁の内膜に亀裂が生じて血液が壁内に入り込み、内膜と中膜を剥離させながら急速に拡がる疾患です。突然の激烈な胸背部痛で発症し、発症直後から生命が危機にさらされます。解離発症後2週間以内の急性期は破裂や臓器虚血のリスクが極めて高く、早急な対応が必要です。解離の部位によりStanford分類でA型(上行大動脈が関与)とB型(下行大動脈のみ)に分類されます。 詳しく見る
肺塞栓症Pulmonary Embolism 肺塞栓症(肺血栓塞栓症)は、主に深部静脈にできた血栓(凝血塊)が血流に乗って肺動脈を閉塞することで起こる疾患です。血栓以外にも脂肪、空気、腫瘍組織などが塞栓子となり得ます。長時間の安静や手術後、下肢静脈瘤、悪性腫瘍、妊娠・経口避妊薬などが誘因となり、近年はエコノミークラス症候群として知られるように、長時間の飛行機旅行後にも発症が増えています。 詳しく見る