概要outline
心臓の筋肉(心筋)への血流が突然途絶え、心筋細胞が壊死する緊急疾患。日本人の死亡原因でがんに次ぐ高い割合を占め、迅速な治療が不可欠です。
心臓の筋肉(心筋)への血流が突然途絶え、心筋細胞が壊死する緊急疾患。日本人の死亡原因でがんに次ぐ高い割合を占め、迅速な治療が不可欠です。
典型的には胸を締め付けられる激痛が20~30分以上続き、安静やニトログリセリンでも軽減しません。痛みは左肩や腕、首、顎に放散し、冷や汗や吐き気、死の恐怖を伴うこともあります。高齢者や糖尿病患者では痛みがない「無痛性心筋梗塞」も約15%にみられ注意が必要です。
心電図検査では特徴的な変化が現れ、どの冠動脈が閉塞したか推定できます。血液検査では心筋細胞から漏れ出す酵素(CK、トロポニンTなど)の上昇を確認します。確定診断のため冠動脈カテーテル検査(冠動脈造影)を緊急で行い、詰まった部位を直接観察します。
最優先は閉塞した冠動脈の早期再灌流です。経皮的冠動脈形成術(PCI)によってカテーテル先端のバルーンやステントで詰まった血管を拡げ、血流を回復させます(重症時はバイパス手術も検討)。再開通後は集中治療室(CCU)で血圧管理や不整脈監視を行い、心不全や心破裂など急性期合併症に備えます。安定後は心臓リハビリを開始し、再発予防の生活指導(禁煙・食事・運動)が行われます。
発症から病院到着までの時間短縮が生死を左右します。病院到着前に心停止に陥る例も多く(少なくとも14%以上)、迅速な救急受診が不可欠です。初期には致死性不整脈(心室細動)による突然死の危険が高く、AEDによる救命措置が重要となります。治療後も壊死した心筋は元通りにならないため、一刻も早い血流再開で心筋壊死範囲を最小化することが肝心です。
7:30~17:30(月~土) 診察の予約・変更及び検査の変更ができます。